Aoi Tagami
   




1st Album

『きらきらするすべて』


2024年11月11日、1stアルバムをリリースしました!
わたしはこれまで、放った声が実際に空間に響くとか、その場の景色と言葉が手を取り合って一本の歌が立ち上がるとか、そういうことに惹かれて歌を歌ってきました。そんな道のりを歩いてきたので、防音の効いたスタジオで歌を録音するということには正直あんまりしっくりきておらず「ライブ盤」という形でのみ音源を発表してきました。しかし、2022年に弾き語りを主軸にした活動にシフトし、素晴らしいミュージシャンたちと出会っていくなかで、楽器の音色とリズムが持つ推進力や描写力にすっかり感動してしまい(あとシンプルに超楽しくなっちゃって)、疑問は興味に変わりました。これまでとは違う方法で「景色のなかに実際にいる」ような作品を作れるのではないか…

2014年ごろから、わたしはポエトリーリーディング的な野外ソロパフォーマンスを歌のつもりで発表してきました。野外なので、上演中(演奏中)には近くの道を車が通り過ぎたり、鳥が鳴いたり、飛行機が飛んだり、風が吹いたり、距離や空間の造りによって声の聞こえ方が変化したりしていました。上演中にも制作のプロセスにおいても、偶然そこに居合わせたものたちの気配や魅力をひとつずつ見つけ、確かめることが重要でした。そして、そこに具体的な響きを伴った空間があり、自分も周囲のものたちと同様ただ「いる」のだと確認することが、全ての基本にありました。わたしにとって景色を描写するということは、すなわち目の前のものに名前をつけて実際に呼びかけることだったし、わたしは目の前の現実と直接関係を結ぶために一本の声と言葉を使っていました。
弾き語りを始めてからも引き続きそういうことが真に面白いと感じていたので、スタジオ録音という手法をとっても、現実の地続きにある表現にしたかった。そして、2023年の秋頃、バンド「ガラグア」の二人や近しい友人たちに相談に乗ってもらうようになって、ようやく思い描くようなものが実現できるかも?と思えたのが2024年2月でした。さっそくアルバム制作に向けた準備を始め、主な録音は同年4月に都内の「ツバメスタジオ」にて、2日間にわたって行われました。

今回のアルバム全体の方針は、音数が多く即興的要素の強い楽器の演奏と、軸になる歌を並走・共生させることでした。大まかな方向づけはありつつも、音楽的なアレンジや音色のアイディアなどの多くは各演奏家に委ね、リハーサルを重ねて感覚を共有しました。つまり普通のよくあるレコーディングですが、わたしは「いきいきとした風景写真」が撮りたかったので、この録音の方法が最適だと思いました。また、それとは全く違うアプローチとして、実際に生の時間を録音したトラック(Tr.5,Tr.9)も収録しています。Tr5.は自宅のベランダでタバコを吸っている時のサウンドスケープ、Tr.9はいつもよりだいぶ長く歩いて帰ってみた時のボイスメモからの引用です。どちらも歌の原初のようなものです。

目が見える時、そこには光があります。タイトルの『きらきらするすべて』は、各自の周りで動いていたり止まっていたりしながら光を反射して視覚情報に変換されうるすべてのもの、つまり目の前の世界のことです。そして、わたしたちの目は外に向かってついている。目に限らず、皮膚も、鼻も耳も舌も、生き物の感覚器官は、外界に期待してここに備わっている。わたしは生きているので、この事実を喜びたいです。残念なことに世界には美しいものばかりがあるわけではなくて、目を覆い耳を塞ぎたくなるようなことも本当に多くあるけれど、それでも、わたしは目の前にある小さな発見や希望を手がかりにして世界と関わっていたい。歌えるくらい体が元気な時は(ほとんどいつも)そんなふうに思っています。
たとえば電車と並走する高速道路をゆく車、あるいは船の上空を群れで飛ぶ鳥、公園のベンチに座っている時にそばで鳴いている虫…。このアルバムに収録されている曲は、そんなふうに人のそばにある具体的な景色をつくることを目指しています。わたしに見えていた具体的な景色が、歌になって形を変え誰かに届いた時、また新たに具体的な景色を立ち上げる。この、表現の真理みたいな根源的おもしろさにわたしは強く惹かれています。そして、各々がそれぞれの一人称視点で、それぞれのやり方で世界を確かめることが、ひとりひとりが生きていることの肯定につながると信じています。少なくともわたしにとっては、ビビらずに目をちゃんと開いたり音をしっかり聞いたりすること(虚勢でもそうしてみること)が、自分を励ます方法のひとつです。

何はともあれ、ぜひたくさん聴いてくださ〜い!サブスクでも聴けます。
(通販もうちょっとお待ちください…)


01.においだけの海 The invisible sea (7:07)
02.モーニング・アップデーツ Morning Updates (4:59)
03.モーターリバー Motor River (5:48)
04.湾岸行々 Urban Port (5:51)
05.The Breath (1:00)
06.午後の終わり April Evening (2:55)
07.テラス席 The view of terrasse (6:04)
08.水面のある街 Just Flowing (5:29)
09.From 240819 new Recording304 (1:16)
10.土に似ていく Resembling the Earth (6:13)

作詞作曲 田上碧
Lyrics and Music Aoi Tagami

ーーミュージシャン Musicians

田上碧:ボーカル、アコースティックギター、エレキギター、コーラス
Aoi Tagami  Vocal, A.Guitar, E.Guitar, Chorus

樋渡直:エレキギター、コーラス
Sunao Hiwatari  E.Guitar, Chorus
宮坂遼太郎:パーカッション、シンセサイザー
Ryotaro Miyasaka Percussion, Synthesizer
阿部真武:ベース
Masatake Abe E.Bass
北澤華蓮:ヴァイオリン
Karen Kitazawa Violin
本藤美咲:Misaki Motofuji Baritone saxophone

ーースタッフ Staff

レコーディング、ミキシング:君島結
Recorded, Mixed and masterd Yui Kimijima
マスタリング:風間萌(Studio Chatri)
Mastered:Moe Kazama(Studio Chatri)
アートワーク、デザイン:高良真剣
Artwork, Design:takaramahaya 
感謝:ペダル、海野林太郎
Special thanks: Pedaru, Rintaro Unno


Apple MusicやSpotifyからも聴けます!






AOI TAGAMI LIVE “元気の歌気 in 電気湯” 2023

『AOI TAGAMI LIVE “元気の歌気 in 電気湯』


2023年12月23日、曳舟の銭湯・電気湯にて開催した自主企画ライブ『元気の歌気 in 電気湯』の様子を収録したライブ盤です。20024年5月20日ごろより、各種サブスクリプションサービスにて配信限定でリリースしました。
この日は、ヴァイオリニストの北澤華蓮さんと、パーカッショニストの宮坂遼太郎さんとのトリオで演奏しました。




01.においだけの海 The invisible sea (7:43)
02.モーターリバー Motor River (5:44)
03.モーニング・アップデーツ Morning Updates (5:55)
04.水面のある街 Just flowing (5:40)
05.湾岸行々 Urban Port (7:07)
06.午後の終わり April Evening (2:50)
07.テラス席 The view of terrasse (7:20)

Vocal, Guitar - Aoi Tagami
Violin - Karen Kitazawa
Percussion - Ryotaro Miyasaka
Words & Music by Aoi Tagami

Recording, Mix : Yoshiki Masuda
Recording Assistant : Asuna Ito
Illustration : damdampops (from Bali, Indonesia)
Special Thanks: Denkiyu, Mina Shinohara, Σ°))))∈, Hinako Osada, Rintaro Unno

Apple MusicやSpotifyから聴けます!






岡と田上の音源的関係

『岡と田上の音源的関係 / The Best Concert Ever by Chiho Oka and Aoi Tagami』


岡千穂さんと2021年1月3日に行った初共演ライブを収録したライブ盤です。即興による〈1st set〉と、花札ゲームと称した、ランダムに引いたカードの指示に従って演奏していく〈2nd set〉が収録されています。

Ftarriより2022年12月25日、200部限定リリース。
以降、ライブ会場で手売りしています。(¥1,500)

01.Improvisation (22:12)
02.花札ゲーム (25:08)
花札ゲーム:〈賀正〉という文字がスクリーンに映し出された。~「フォルダ並べ」+「テラス席」~ ゲーム ~「2人羽織」+「においだけの海」

Recorded and mastered by Ftarri
Art work by Rintaro Unno
Design by Aoi Tagami

BandCampから試聴できます。デジタルアルバムまたはCDをご購入いただけます。
Buy Album ¥1,500 JPY


東京・水道橋にあるCDショップ、Ftarri店頭でもお求めいただけます。

https://www.ftarri.com/suidobashi/




[Ftarri WEBサイトより]

岡千穂はコンピュータ・ミュージックの演奏家、サウンド・アーティスト。田上碧はヴォイスによる即興演奏を得意とする一方、作詞作曲して自ら歌うシンガー・ソング・ライターでもある。このふたりのソロCDを「Ftarri 福袋 CD 2021」 としてそれぞれ制作し、2020年年末と翌年年始の Ftarri でのコンサート来場者にプレゼントし、2021年2月にどちらも公式発売した。岡千穂『Manipulating Automated Manipulated Automation』(hitorri-882) と田上碧『LIVE on October 26, 2020』(ftarri uta 221) がそれ。 2021年の「Ftarri福袋CD付き年始コンサート」のひとつとして、1月3日に岡千穂 (ラップトップ、シンセサイザー) と田上碧 (ヴォイス、歌、エレクトリック・ギター) のデュオ・コンサートを Ftarri で実施。この共演がすばらしい内容だったため、ここにCDリリースが実現した。ファースト・セットのデュオによる即興演奏 (22分) を1曲目に、セカンド・セットの「花札ゲーム」(25分) を2曲目に収録。花札ゲームは、ステージでふたりが各自花札をめくり、札に書かれたキーワードを基にお互い別々の曲を同時に演奏するというもの。演奏の合間のふたりの掛け合いも収録し、花札ゲームの雰囲気が楽しめる。






ある!の実践

『ある!の実践』


2015年ぶりに1人で作ったCD-Rです。2022年、長野・東京・茨城にて、ダムのそば・湖のほとり・電車の高架下・車道の下の小さなトンネルで、一曲ずつ弾き語りを収録しました。

単独ライブ「ある!夏22'」にあわせて2022年7月23日リリース。
以降、ライブ会場で手売りしています。(¥1,000)

01.湾岸行々
02.モーニング・アップデーツ
03.モーターリバー
04.においだけの海

All works by Aoi Tagami

収録曲のなかから「モーターリバー」をYoutubeで公開しています。
https://youtu.be/HVFw-jZ_s0M

[ステートメント]

わたしは歌を歌う時、今この場に全部がある!と感じることがあります。歌を歌っている自分がここにいるけど、そうじゃない生き物や、人間や風や木や、自分と関係があったりなかったりする、いろんな気配に囲まれているのを実感する、というようなことです。こういう時、わたしは自分が景色のなかで楽しく鳴いているただの動物になれるような気がします。存在をただ認める、それぞれがこの場にいる・あるのがわかる、というのは、単なる事実の認識ですが、きっと静かな肯定でもありうると思っています。これはわたしにとって健康な心のための支えであり、歌う動機のひとつです。

この制作のきっかけになった考えは2021年末と2022年始の頃の気づきでした。ブログに書いているのでお時間があれば併せてどうぞ。
1月23日「全部がある!」
https://aoi-tagami.hatenablog.com/entry/2022/01/23/154519








触角が無限にのびる虫

『触角が無限にのびる虫』


A Forever Growing Antenna froma One on the Ground
2020年8月21日、北千住BUoYにて収録。同年9月4日リリース。

歌、語り、声、音による約27分にわたるソロ作品。


Released September 4, 2020
All Music & Lyrics & Performance by Aoi Tagami
Lyrics in English (PDF)

Recorded by yoshikimasuda on 21th August 2020 at Kitasenju BUoY
Artwork by Ryo Uchida
Translated by Mitsue Kitagawa,Tomoko Sato

BandCampからフルで聴けます。歌詞も全て読めます。
Buy Digital Album ¥1,500 JPY




[初演のフライヤーに掲載したステートメント]

「歌を方法にしたい」と思っています。そこにあるものに触れ、確かめるための方法です。

わたしは、歩いたり自転車に乗ったりしながら、見える景色から影響を受けてテキトーに歌うのが好きで、よくやります。
例えば木を目の前にした時、「木」と声に出してみる。そうすると、「木」という言葉が、実物の木と同じ空間に一時的に同居します。目の前にある木と、言葉の「木」が、一対一でつながる。わたしがとても好きな瞬間です。
しかし、言葉を意味として考えると、このつながりは脆いと感じます。「木」が、言葉として意味をもつためには、木の観念や知識が必要です。つまり、目の前にある木そのものではなく、観念のほうに根拠がある。これは人間にとって重要な仕組みですが、目の前の木を見ないということに通じています。
こうして考えた時に、目の前の木にちゃんと向き合っているのは、音なのだろうと思います。

例えば自転車で走りながら、道沿いの数本の松の木に向けて「きぎいー」と、3秒くらいかけて発語してみる。こうすると、声は、一部は木の幹にぶつかったり、一部は横をすり抜けてもっと向こうへ伸びたりして形を変え、わたしの耳には「きぎいー・いー・いー」のように途切れて聞こえます。扇風機に向かって「あー」っとやる感じです。音を長く伸ばすとわかりやすく知覚されますが、短く「木」と発語した時にだって、その響きはその場の影響を受けています。

このような音の物理現象は、ただそこで起きます。これは、意味をもった言葉で木を「木」と呼ぶのとは違う次元の出来事です。つまり言うなれば、目の前の木を、音で呼んでいる!

音をもって何かを呼ぶ行為は、言語よりも原始的で、たわいもないことなのかもしれません。ですが、自らのノドと目の前の木が物理現象レベルで触れ合えるということに、わたしは初源的な興奮をせざるを得えません。そこには明確な手触りがあって、意味よりも速く、触っていて、触られていて、何か思う前に一瞬で消えてしまい、追いきれない。わたしは今、そういう音の可能性に魅せられています。歌声は、顔より奥まった繊細なところから秘密で鳴り始めて、しかし、鼻よりも、伸ばした腕より先へ、前へ、文字通りの音速でぶっ飛んでいって世界に触れられる、とてもエキサイティングな方法です。そこには、ただ対峙するという、外気に晒された出会いがあります。

今回、わたしは2年ぶりに、ソロパフォーマンスによる作品を発表します。これまで、屋外で大きな声を出して走ったり歌いながらふざけたり、音楽や演劇に参加したりして、得てきた声と体にまつわる所感を、今度は1人で静かな部屋に持ち込んで、音のはしっこまでじっくりと耳をすませることから、また表現を始めていきます。

[2020年1月 田上碧]







Live on October 26th

『Live on October 26,2020』


2020年に水道橋Ftarriにて行われたライブ音源が収録されています。
Track1~3はギターの弾き語り、Track4、5はYoshikimasuda氏との共演です。
Ftarriレーベルから2021年2月28日にリリース。

01.触角が無限にのびる虫 25:00
02.いい夜の友達 04:07
03.テラス席 04:17
04.においだけの海 07:17
05.傘のなか 04:21



All words and music by Aoi Tagami,
except track 5 - music by Aoi Tagami and yoshikimasuda

Aoi Tagami: vocals, guitar
yoshikimasuda: piano (4, 5), backing vocals (4, 5)

Recorded live by yoshikimasuda at Ftarri, Tokyo, October 26, 2020
Mastered by Hiroyuki Ura

BandCampから試聴できます。デジタルアルバムまたはCDをご購入いただけます。
Buy Album ¥1,500 JPY


東京・水道橋にあるCDショップ、Ftarri店頭でもお求めいただけます。

https://www.ftarri.com/suidobashi/










yoshikimausda+Tagamiaoi

『yoshikimasuda+田上碧』


「かさねぎリストバンド」のyoshikimasuda氏と制作した、ピアノと声によるEPです。
2018年に制作し、CD-Rを販売していました。(完売しました)

01.19℃71per 03:58
02.夏のうた 04:29
03.傘のなか 04:08
04.片足で立つ 04:22
05.なれたよ 03:02


Vocal: Aoi Tagami
Piano/vocal: Yoshikimasuda
All music composed by Yoshikimasuda Exept track 3&5 (by Yoshikimasuda and Aoi Tagami)
Recorded September 2018
Art Direction by Takumi Nemoto

2020年5月より、各種サブスクリプションサービスにて配信中。